長男の格闘掲示板 35336

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THE BOXIHG 1

1:田舎侍 :

2024/05/09 (Thu) 15:59:43

井上尚弥VSルイス・ネリの大激闘について。

様々に書かれていることなので、格闘技素人のわたくしがああだこうだと言える立場にはないのですが、まあ、そこはインターネットの掲示板ということでご寛恕いただきたい。

とてつもない試合だったことは間違いありません。
あの試合を語るうえで、取り上げられるのは、井上チャンピオンのダウンでしょうね。いったい、何があったのかと、みなさん目を疑ったことと思います。
その点に触れる前に、まずは、ネリのパンチについて考察しなければならないでしょう。つまり、あのダウン以降のパンチについて、です。ネリは、ほぼ、まったくと言っていいほど井上にヒットさせられませんでした。右も、得意の左も、ですね。とくに左は空振りしまくった。井上がぎりぎりでかわすパンチも確かにありましたが、完全な空振りであることは見間違いようもない。せめてガード上から、あるいはボディ上に打ちこんでいるならわかりますが、完全に空を切る、というシーンがやけに目立ちましたね。
なぜか。
一ラウンドの、井上選手のダウン直前の攻撃によく象徴されていますね。ネリは右を使わなかった。徹底して左で倒そうと、がちがちに構え、打っていた。あのとき、右からワンツーを打てばかなり深刻な状態になったはずが、単純極まる左で打ち砕こうとした。
あれでは百戦錬磨の井上を鎮めることは叶わない。事実、一ラウンドではロープ際まで追いこみ(二度目の追いこみ)ながらも、ボディとアッパーのカウンターを食らう。
ロープ際に追いこみ、連打の嵐を。それがネリの得意とするパターンだと誰もが思っていた。ネリ自身もそうだったに違いない。しかし、ショートの正確さに長ける井上に、教科書通りにカウンターを浴び、あえなくバックステップを踏む。一ラウンドで決めきれなかったのは、ネリが本来的に単純な攻撃パターンしか持ち合わせていない選手だったからです。
ネリが勝つなら、あの連打のなかに好機を見出すというのが一般的な見方だったでしょう。しかし、一ラウンド中盤で、ネリがショートの左フックでダウンを奪った。あれは、ネリの本来的な勝ちパターンではない。井上選手のガードが完全に甘かった。加えて、左アッパーの効き目が薄かった。加えて、右の返しが遅かった。そうでなければ、あのネリの左は入っていない。当然、死角になっていたから浴びてしまったのではあるが、互いに「ちゃんとした」体勢ではなかったからこそヒットし、ヒットされたのではないかと思います。事実、クリンチしてもおかしくないような、妙な距離でしたからね。井上選手が打ってしまったものだから、ネリが反応したというのが正しい見方かと。
ダウンの仕方も変だった。あんなダウンの仕方はあまり見られないというような倒れ方。体が完全に流れ、コマのように回る、なんて。顎先を打ちぬかれたせいで対角の脳が揺れてしまったということ。テンプルに入らなかったのは、やはり、通常のポジションで打たれた感じではなかったから。当てたネリが一番驚いたのでは? だから、その後の展開で焦ってしまった。

原因は、気負いや重圧や、妙なハイテンション、なんかがあげられるのでしょう。
田舎侍としては、それ以上に、あの体勢になったことが最たる原因だと考えます。あの試合、あの体勢になったのは、あれ一度きりですから。ネリのワンツーが来て、体全体で受け止め、組んでしまった。足掻くようにアッパーを打つ。ネリが反応してしまった。それがあの一瞬の答えでしょう。
ネリのパンチがほぼ手打ちだったこともそれが原因でしょうね。組んだ状態だったから(普通ならもっと打ちやすい下半身を造るはずが)、不細工なまでに手打ちだった。上半身のパワーだけで当てた。腰が回っているようで、大して下半身からの力を伝えていない。当てられた井上も、右を打とうとしていたから力が分散されていく。で、不細工なダウンシーンとなったわけですね。
2:田舎侍 :

2024/05/09 (Thu) 16:13:53

ダウンシーンについては様々な見方があるでしょうから、このへんで。

二ラウンドでもネリのフックは飛んできます。ただ、井上に構えられ、かなり警戒を深めます。やや前傾を解きます。一ラウンド終了間際のボディ、アッパーカウンター、ブロック気味のストレートなどが相当にイメージに残っているからです。
ロープ際に追いこんでもあんなに打てるのか。ダウンの直後でもそうなのか、と。
しかも、二ラウンド早々、ついにボディブローが「普通に」ヒットします。あれはかなり効いています。精神的にも。だから、ネリが少し出ます。いま打っておかないと、という感じですね。
まだ完全にフックを見切れていない井上は、少々、遅れて反応していますね。しかし、徐々に目が慣れていくのが誰が見てもわかってきます。とうのネリが一番それを感じている。「あ、当たらないぞ」と。で、パニックに陥る。それが大ぶりのワンツー。井上相手に、あのワンツーは命取りだ。完全に見切られ、カウンターの左フック一閃。

田舎侍は、下記で、左フックについて書いた。
井上尚弥といえばボディーブローの美しさ、強烈さが代名詞ですが。
田舎侍としては、彼の左ショートフックこそ王者の証だと思っていたからです。しかもただのショートフックではない。ドネア戦でもわかるとおり、ほぼストレートと変わらない軌道で打てる。肩の柔らかさとナックルの確度が素晴らしい。
今回もそうでしたね。しかも後頭部まで衝撃が突き抜けるような見事さでした。

マイナス2ポイントを完全に奪い返し、しかも、みずからが負ったダメージをはるかにしのぐダメージを相手に与えた。さすがは井上。息を吹き返すどころか、勝利へのカウントダウンと言わんばかりの見事な展開でした。
通常なら、あれを一ラウンドでやりたかった。じっくり相手を見て、打たせ、感じ、返す。そうしたかったはず。
モンスターも人間だった、と言っている人はたくさんいましたが、そりゃそうですよ。
ドネア1 では眼底骨折でフルラウンド。
タパレス戦ではカウンターをもらった。
そうした一戦ごとに反省し、ますます強くなっていったのだ。修正できる才能こそ彼の真骨頂だと言えます。
3:田舎侍 :

2024/05/09 (Thu) 16:17:35

大ぶりのネリ。
ジャブの差し合いで勝てないネリ。
スピードについていけないネリ。
コンビネーションが単純すぎるネリ。
焦るネリ。
それらすべてを吸収する井上。
恐ろしいまでのマイペースを繰り広げる井上。
なかでも、ネリはまったくジャブを見切れない。

井上の恐ろしいのは、いわゆるサウスポー対策とは逆をやること。左に回ることはほとんどない。ネリの正面に立とうとする。むしろ、内側へ行く。
井上の右へ右へと動いていたのはネリのほうだった。それが四ラウンドへと続く。
4:田舎侍 :

2024/05/09 (Thu) 16:23:25

あの「問題」のシーン。

ノーガードで挑発。
彼は「ペースを握るため」と会見で話していたが、それだけではないだろう。
もう、見えていた。
もう、わかっていた。
それに尽きるでしょうね。

ネリの引き出しがもうない、と完全に理解した。
一ラウンドでダウンを奪ったが、ネリは、それ以上のことを何もできない。あの一ラウンドと同じ体勢を造ることさえできない。なぜか。あの体勢になったのは、やはり、ほぼ偶然の産物だったから。ネリが狙ったからではないという証拠だ。だから、あの試合でももう二度と訪れない機会だった。事実、訪れなかった。

井上にとって、そうした証拠と証明を集めることこそがボクシングなのである。
ネリの顔はどんどん腫れあがっていく。
井上のパンチは、いわばフェンシングの剣だ。掠っても傷つけられる。
大して、ネリのパンチはハンマーだ。打面が大きすぎ、完全にヒットしなければ効果はない。
井上が特別な選手だと実感したラウンドだったに違いない。
5:田舎侍 :

2024/05/09 (Thu) 16:29:12

ネリに勝機はない。
井上には余裕が見える。確信が灯っている。
右のダブルがヒットする。膝が揺れる。
ジャブが顔だけではなく心を破壊していく。
ネリの判断力は完全に鈍っている。
追いこんだと、追いこめたと錯覚した。誤解した。曲解した。その結果がダウンだった。今回はテンプルまで響くような強烈な、またしても左フックだった。
スローで見てみると明らかだ。ネリの目が泳いでいる。一ラウンド目で井上がダウンしたときの目とじつに対照的だ。
脳はもう機能していない。
足も同様だ。ふらついていなくても、力は入っていない。だから、打てば打つほど体が流れる。体勢が崩れる。あんな乱れたフォームで井上に当たるはずもない。
対して、井上のスピードはさらに上がっている。正確性も増している。切れは恐ろしいまでに……。
6:田舎侍 :

2024/05/09 (Thu) 16:35:47

今回、ボディーブローはあまり多くない。
それは、ヒット&アウェイを多用したからだ。ネリの接近戦を嫌ったのではないだろう。ネリがもう足を使えないと確信したからだ。
ジャブを打ち、離れ、ジャブを打ち、離れたかと思うとストレートを打ちこむ。目線が上に行けば、そのつどボディーへ。忘れかけたころに飛んでくるからこそボディは強烈に効く。独特のリズムでもある。ネリは、もう自分で考える力さえ奪われている。
相手に決定的なダメージを与えられる、利き手のパンチにも差がありすぎる。正確性は雲泥の差だ。井上は、速く、的確だ。だから効くのだ。しかも下半身のバネを生かし切れるスキルを持つ。バランスが崩れないから、完全に力を注ぎ切れる。中盤でも変わらない。いや、自信と成長を試合内で実感する分、もっと凄みを増す。

ノックアウトされる間際、ネリが後退するのがわかる。反射的に、だろう。
打たれる前に、チェックメイトは済んでいたのである。

長くなりました。
もっと書きたいのですが、今回はこのへんで(笑)。

あの日はいい試合がたくさんありましからね。
7:長男 :

2024/05/09 (Thu) 17:39:08

熱い書き込みありがとう。
俺はこの試合を見た後アドレナリンが出まくったせいか眠れなくなってしまった(><)
それだけ印象深い試合だったワケだ。
そうなったワケは勿論井上のあの予想外のダウンだ。
びっくりしたよ。
まさかタイソンVSダグラス戦の悪夢の再現か?
ヤバイと思ったね。
だがそこからの井上の巻き返しが凄かった。
何と1ラウンド後半から終盤にかけて早くも井上が盛り返したのだ。
既にネリもヤバイと感じ始めたかもしれない。
 倒すなら今だ!
とばかりに大振りの攻撃を仕掛けたネリに待ってましたと言わんばかりのドンピシャのコンパクトな左フック。
すぐ立ち上がったもののネリの前進する勢いもあったのでこのカウンターは肉体的にも精神的にもかなりのダメージを負ったと思われる。
4ラウンド以降はもう井上の独壇場だ。
ノーモーションの右も面白いように当たる。
回を追うごとに鼻っ柱がどんどん膨れあがったネリの顔が泣きべそをかいているようにさえ見えて来る。
ネリへの2度目のダウンを奪った左は見事!の一言!
俺がこうなって欲しいと思い描いた展開は、井上が圧倒して敢えてネリの接近戦に付き合い、ネリの大振りのフックに芸術的なショートフックをカウンターで打ってジ・エンド!だった。
のでこれで倒れて欲しかったがネリもタフだよな。
おかげで劇的な幕切れを見る事ができた。
右アッパーからのトドメの右が強烈無比。
ネリはぶっ飛んだ。
これにて一件落着!
と俺の中で遠山の金さんが叫んだぜ(笑)。
8:長男 :

2024/05/09 (Thu) 18:19:26

井上をダウンさせたあのネリの左フックだが、俺は偶然だと思っている。
偶然という表現が最も適しているかどうかはまあ置いておこう。
 井上は1ラウンド力みがあった。
これは試合を見た人ならそう思うだろう。
入れ込み過ぎていた。
ただ偉大なるボクサー井上が緊張で空回りする事などあり得ない。
プレッシャ-、溢れる闘志を技術に昇華させ、早いラウンドでネリを捻り潰すに違いない。
これは早いラウンドで決着がつくな。
そう思ったものだ。
だが井上が初っ端に放ったパンチはジャブではなく以外にも右だった。
しかもやや大振りのフック気味のパンチだ。
右でもノーモーションの右、つまり空手で言う直突きのパンチなら理解できるが、序盤からあのパンチはいくらなんでも疑問符がつくパンチだった。
緊張しているんだな、と俺は思った。
井上は自分が主導権を握るまでは不用意に接近戦をしない方が良かったと思う。
本人もそう思っていたのではないか?
だが動きの中で一瞬お互いが近づいた瞬間に井上は左アッパーを繰り出した。
その後右を出そうという動きであったが、アッパーで体勢が崩れていないネリの左フックが当たってしまったのである。
あのネリのパンチは狙っていたのではないと思う。
接近間合いに入ったので自分の得意なフックが無意識レベルで反射的に出た!という印象だ。
左フックが当たったのも勿論技術的な理由がある。
井上はネリの右手の外側から右腕の下をかいくぐってアッパーを打ち込んだ(打ってしまった?)。
井上のパンチがもう少し喰い込んでいたならネリの顎も上がって体勢が崩れただろう。
しかしコンビネーションを狙っていた為かネリの顔面はあまり揺れなかった。
という事で左の発射態勢が整っていたのだ。
通常ならサウスポー相手なら強い左をもらわない為に相手(ネリ)の右側に回る、ポジショニングをする。
あの場面は左側にいたのでネリの強烈な左を喰らう危険性があったのだ。
だがネリのあのパンチは前述したとおり狙った一発では無いと思われる。
自分が得意な接近間合いに入ったのでフックを打つという反射的、無意識レベルの身体の動きがそうさせたのだと思う。
普通ならサウスポー相手に仕掛けるべきでは無いポジションから井上が打った(緊張の為ミスした?)事と反射レベルでパンチを出した事が合致してあのダウンになったのではないか?
というのが俺の見立てだ。
それを『偶然』と表現した。
まあ見方によっては必然かもしれないが・・・・。
いずれにしても結果論にはなるが井上の1ラウンドでのあの接近間合いでのあのポジションからのパンチの選択は一考の余地があったように思う。

偉大なるチャンプ井上も人の子。
こういう時もあるんだなと改めで思ったよ。
そしてやはり勝負に絶対は無い!とも。
それでもあらゆる事態を想定していたという井上。
そしてこの困難な局面をも乗り越えた井上。
この経験を生かしてさらなる偉大なボクサーへと成長するに違いない。
次回の戦いも是非期待したい。
素晴らしい試合だった。

9:田舎侍 :

2024/05/10 (Fri) 13:08:08

井上VSネリ

第一ラウンド以降は、ロッキー3の再試合を思い出しました。
ロッキーVSグラバー
大ぶりのグラバーに足を使い、フットワークを駆使し、的確なジャブとストレートでかく乱しながらダメージを蓄積させた戦い方。
あれは映画でのシーンですが、それを実戦でやれるというのが井上の稀有なところでしょうね。
一ラウドで目が覚め、汗をかき、血が巡り、エンジンがフル回転した。しかも誰より冷静である。井上にはパンチがない、とほざいた連中はどう弁解するのか、楽しみですね。ボクシングにおけるパンチ「力」とは、あくまでもヒットしたときの威力を意味する。サンドバッグや、突っ立った選手をぶっ叩く「にせものの」力とは違うのです。
生きた力と言い換えればわかりやすいでしょうか。
タイソンがどうしてあんなにノックアウトの山を築けたか。それを考えれば当然ですよね。単に腕力が強かったわけではない。当てるさいの力が凄まじかった。
ネリはパワーパンチャーですが、それが発揮できるのは限られた場面だけです。ハンマーを振り回すにはそれだけのお膳立てが要る。フェンシングの剣なら抜いた瞬間に相手を殺傷できる。その差です。

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